踊り場トーク②―ドローイングについての話―

※第2回目からは広島市立大学博士後期課程の亀川果野さんを迎えて交流会のようなミーティングを行いました。話題は、ドローイングについて。

2021/2/21参加者 

7期 大橋智

8期 山本志帆

16期 浅埜水貴

博士後期課程在籍 亀川果野

 大橋智 ドローイング

大橋 インスタグラムに自分のスケッチやドローイングを上げているんだけど、メキシコのアーティストの人が、「君のカリグラフィーはグレートだ!」って言ってくれて。俺はものすごく字にコンプレックスがあるけど、巧拙関係ないと思ったら、美しいカリグラフィーに見えるものが描ける、ということが解って嬉しかった。

「書」と「絵」の境目って曖昧だったりする。AR拡張現実っていうのがあるんだけど、市大卒の知り合いがメッセージをよこしてきて。カメラで撮影してるものの中に、何か物体を投影したりする技術を研究してる人なんだけど。モノクロのドローイングをインスタにあげていたら、「これだとARにしたら面白いと思うんだけどやっていい?」って急に言われて作ってもらった。

ただ単にその画像から起こすとやっぱりいろいろ不備があって、平面作品・ドローイングを拡張現実的な空間として表現できそうなんだけどできないって言われて。

それで言うと亀川さんの作品も絵画空間の奥行きとして表現したものを、物理演算的な空間に起こすっていうことは、俺の場合は完全に抽象的な空間なんだけど、それ3D空間に起こすという作業はちょっと面白そうだな、なんて。

「文字についての試行」亀川果野 1100×4550mm 2020年度修了制作

浅埜 亀川さんの制作方法は、プロジェクターを使って和紙を張ったパネルに文字を映像として投影して、それを筆でなぞっていく。無いものがパネルの画面に落とし込まれていくのが、面白いなと思ってみていました。

大橋さんの作品も面白そうですね。

大橋 ARの場合は、写真とか映像の中に、立体としてデジタルで作ったものを投影する。 映画とかでその3Dアニメと実写を同居させて撮影するみたいな。ポケモンGoとかで、その実際のカメラで撮ったときに、空間の中にポケモンがいるみたいに出てくる。ああいうのが一番簡単なAR。

亀川 絵画だったらもう正面しか見えないけど、回って横からの奥行きがある状態みたいなのが見えたりするってことですよね。

浅埜 ちょっと違う話で…。

大橋さんの作品って、線でスピードを表してるじゃないですか。バイクとかで走ってる風景をドローイングしてるって伺ったことがあるんですけど。そういった場合、スピードはどうなっていくんですかね。なんか、これも興味あるなぁ。

大橋 どういう風になるのか。その人が言ったのは、本来はインタラクティブなものとして扱うものだけど、映像にしたいっていうことであれば、どこまで画質を上げられるか?みたいなことを言われて。

亀川 立体作品みたいになりますね。

大橋 立体だけど平面、みたいな。どういう投影をするのか。壁面投影するのか。

平面に本来は定着してるものなんだけど、感覚としては空間の中でこっちからこっちに行くみたいなことを実は再現できちゃうかも。

亀川 空間の中にドローイングするの面白そうだなって思いました。

大橋 リアルタイムではなくて、作ったものをもとに加工して作るっていうことになる。さっき亀川さんが言ったように、1つフィルターが入るとか、実際に物理的な距離が関係して間接的な表現に入っていくのか。

自分の場合はどっちかっていうと、自分の身体の形がそのまま定着するっていうのがドローイングなので。そこからちょっと一歩外れちゃうかもしれないんだけど。

亀川 リアルタイムのドローイングがもし可能だったらって考えるとすごい 面白いなって思って。身体性が直接的に出るっていうか。立体って、支持体の特性にかなり持っていかれるっていうか、身体性とはちょっと違うじゃないですか。 なんかそういう意味で、自分の体が描けるストロークみたいなのが3Dで、空間に描けるんだとしたら、体が追った軌跡みたいな感じですよね。ああいうようなものが出来るんだとしたら、何かすごい可能性を感じるなって思う。

でも何か身体性と言いつつも、機械が自分の体の動きを察知して、それを機械なりに変換して線ができるとき、 機械側の癖みたいなのができてしまって、純粋な身体の動きにはならないだろうなっていう風に思ってて。

  自分の修了作品がさっきいわれたように、投影して写していったんですけど、ペイントツールみたいなので線を引いて。文字を書くときの「ここら辺の動き手元のストロークをそのまま拡大した線が書きたかった」っていうのが発端なんですけど。 いざやってみたら、そのアプリ自体の線の設定みたいなのが影響して、結構独特な線、アナログで描いた線とはまた別の滑らかさが出てしまっていて。結局、自分が意図した線とはちょっと違ったんですよ。何かそれを思い出した。  

さっきのARの、リアルタイムでドローイングする線もやっぱりちょっと機械的な線みたいなのが、タイムラグがあったりとかもするだろうし、そういうずれみたいなのがあったなあと思って聞いてました。

大橋 あの着地があんまり見えてない。だから、やってみたらどうですかっていう話。

亀川 そう。でも何かその「やってみる」っていうのがすごいワクワクしますよね。

浅埜 ドローイングについての話を聞いていて、最近HDLの展示を観に行ってきましたよ。

※HDL ヒロシマドローイングラボ 

ヒロシマ・ドローイング・ラボ(HDL)は、2020年に広島市中区鉄砲町にオープンしました。常に変化していく現代社会において美術の表現形態は多様化し、その中でもドローイングはアートワークを形成する上で重要な役割を果たしてきました。それらドローイング表現に焦点をあて、アーティストによる展覧会の企画と開催、ワークショップ、レクチャーなどの活動を行なっています。

HPより引用https://hiroshimadrawinglab.themedia.jp

亀川 私も見に行きました。めちゃめちゃよかった。

浅埜 手嶋勇気さんの作品もタイムラグとか感じたりしたのかな。携帯画面で描いた絵はドローイングになり得るのか、みたいなのが面白いなって思ったり。油絵出身の人が3人で、1人彫刻の人で活動してて。こういうの見ると、すごい羨ましくなっちゃうんですよね。

亀川 井原信次さんの作品が好きで。FB上で、自分が体験したことを、自分のみが見れる投稿で時々投稿してるんですけど。その画像が二つ置いてあるんですよ。それをドローイング作品としてるんですけど。何かの形を形作る情報メモみたいな意味では、ドローイングの機能として全く同じ構造っていうか、役割を持ってるなって思ってて。だから、メモも、文章もドローイングになり得るんだなっていうのがすごい共感でしたね。

浅埜 なんかうらやましいんだよね、日本画発端からもこういう活動を作りたいと思う。