踊り場トーク①−2 ―大学の縦の繋がりについて・日本画を選んだ理由・ライフステージの話―

参加者 2021/1/23

広島市立大学日本画専攻出身

大橋智・山本志帆・浅埜水貴

大橋 コロナ禍でなくとも大学にいた時から縦の繋がりがあんまりそもそもない。

浅埜 私、在学中学年かぶってないけど大橋さんのこと知ってましたね。大橋さんがアトリエに来た記憶がありますよ。今の子たちの状況はわからないな。そもそも繋がりが必要なくて一人が好きって言う子もいると思いますけど。

大橋  今の大学生世代の子はどうして日本画を専攻したんだろうね。山本さんは高校から美術高校だけどその時から日本画なの?

山本  高校の時油か日本画かでわかれて高校の時にもう日本画を選んだので、その延長で行きましたけど。でもそのへんも聞いてみたいですね。私は皆にアンケートとって訊いてみたいなって。今コロナの時に皆何を思っているんだろうかとか。今置かれている状況とか全然わかんないですしね。問われてはじめて言葉にできたり。

大橋 割と迷いなく日本画を選んだ人と、それ以外の美術の世界とか興味がないまま来ちゃった人だと日本画っぽい所作が当たり前になりすぎちゃうっていうか。そういうこともあるのかなって。そもそも最初どういうことがしたいかって思ったのは結構重要かなって思っていて。

さっき話していた芸術として良いことがしたいって思うのか。自分はこれで食ってきたいと思っているのかで全然違うし。自分のやりたいことの選別を早い段階でできると色々気が楽なんじゃないかな。

浅埜  それはあるかもしれませんね。食っていかなきゃいけないっていう想いが私は強くて。どうにか賞を取ったりとか。箔をつけなきゃって焦りまくってた時があります。自分のことに向き合う時間が少ないままここにきちゃって、今すごく困ってます。両立できる人もいるんでしょうけれど。

大橋    山本さんはそういうプレッシャーはあんまりないタイプ見える。

山本  私はフラフラやってましたね。あんまり定める事は無いっていうか。フラフラ日本画の方に入ってきて延長で大学行って。あんまり浅埜さんが言ったみたいに食べていかなきゃっていうのもそんなに考えてなくて。というのも早めに結婚したのもあって。とりあえず衣食住は何とか大丈夫だみたいなのがベースにあり。でもこういうのが日本画だ、みたいなものもしっかり身に付いてたりしながら描いていて。

でも大学出たら絵を置かしてもらった人とかの関係とか。他のジャンルのことも知るようになって。ようやく最近になって世界を拡げなきゃ、拡がってったほうが面白いっていうのに、今になって気づいてきた時があって。もっと若い時にそういう話とかをつめて出来たらよかったなぁって今後悔してますね。ちょっと漠然としながら来すぎちゃったなぁって振り返ってますね。

だから今からでもいいから何か言葉で発するなり他の人の意見を聞くなりして自分の何かこういう風に制作を取り組んでいこうみたいな。今の生活のペースでやってこうみたいな思い直せるような機会が欲しい。

大橋  なんかでも結婚してからしばらくはやっぱり子供できて忙しくなるし、いろいろ出来なくなる所から、一回インターバルがあるけれどあんまり関係なさそうだなって。よく俺らの世代は「子供が出来たりしてインターバルあると駄目になっちゃうんだよ」みたいな事を言われて。全然そんなことねーじゃん今っ感じで。

山本  自分もそういうこと言われたし、やっぱり描き続けなきゃ腕落ちるっていうプレッシャーみたいなものも感じてたからこそとにかく子供が出来ても続けなきゃって言う感じでやっていて。それでやっぱり大分子供の手も離れてきてようやくもっと周りの色んなことを見られる余裕が出てきたのでという言う感じですね。

大橋 その辺はいろんな人に話聞いてもらいたいなと思う。女性の方がそういう意味で言うと人生設計を迫られる。そう言う意味でいうと男は全然だらしがないんだけど。でもその中でやれば出来るっていう話で。でも俺なんかやらなくなっちゃってもいいんだけどねっていう話でもあるし。

浅埜  女性の人生設計の問題は確かに30代位を目処に色んな圧がかかってきて頑張ってても一回途切れてしまう、分断されてしまう問題もあるかなって。それは山本さんに訊きたいなと思っていた所。山本さんはずっと子育てもしながら絵を更新し続けていっている人だなって思っていて。

あと大橋さんが「男はだらしないんだよね」と言ったんですけども、それもある種、女性の人が色々子育てや結婚がどうだとか言われるような男性バージョンの呪いだなぁって思っていて。やっぱり男性が収入が多くなきゃいけないみたいなのとか働かなきゃいけないっていう。

芸術学部だとどうしても女性が多いし、正直少ない男性だからって注目される部分もあるかもなって思う所もあるのですけれどもやっぱり苦労する部分も多かったんだろうなと思うんですよね。逆に仕事の面に関しては決断に迫られるのが早いかもしれませんね。

大橋  でも俺の場合は学生終わったらもう31歳だったからね。博士出て東京帰ってきた年はリーマンショックの年だったので全然バイトがなかったんですよ。あの辺でもしするっと就職出来ちゃったりなんかしてたら違ってたかもしれない。そういうのって結局その人の持ってる運みたいな。一概に言えない。

山本  社会状況とかね。

浅埜  絵描きって本当に運大事ですよね。でもタイミングとか運が巡ってきたときに、言葉もそうなんですけども日頃から考えていないと答えられないじゃないですか。やっぱりその時にその人が掴み取る能力も備えてなきゃいけないから。考えるきっかけがあるといいですよね。

山本  そのための同窓会なりですよね。

浅埜  何をするにあたっても人生設計みたいな、男性も女性もそういうタイミングが来るって言うことも話題で話してみたいなぁって思います。

絵で食っていくって言う面でいくと卒業生の若佐慎一さんは活躍されてますしすごいなぁって思うんですよね。

大橋   若佐多分絵だけで食べてるよね。

浅埜  そういう話を聞きたい子もいるだろうな。どこかで話を聞くっていうのもありかもしれない。 

大橋 若佐の場合は展覧会いっぱいやってるから会いに行って話を聞く方が良いのかもね。インタビュー形式で話してもらうとか。やってもらえるかどうか。

なんかラジオ聞いていたら余貴美子って言う女優が話してて。余貴美子って言う女優さんがこのコロナ禍で何してたかって言うと地域の人と演劇部やってましたって。面白くない?スーパープロの人がそういう仕事じゃないんだけど芝居をやりたいっていう。地域の人と演劇部を作って練習してるっていうなんかそういうのも面白いよね。

山本 余貴美子なんかいいなぁ。